準備時間:45分|調理時間:2.5時間|合計時間:3時間15分|6〜8人分
コンロでじっくりと煮込まれるパティモンゴの豊かな香りは、海と世代を超えて思い出を繋ぎます。牛のハチノス、豚足、豚耳を材料に長時間かけてじっくり煮込むまれたこの料理は、ドミニカ共和国の人々の心を温める一皿です。
鍋から立ち上る湯気は、アドボ、オレガノの豊かな香りを運ぶとともに、どこか愛の匂いも感じてしまいます。肉はスプーンに触れただけでほろりと崩れ、スープは濃厚な風味で各食材をまといます。
ドミニカ共和国の家庭では、パティモンゴは単なる食事以上の意味を持ちます。シンプルで手頃な食材から美しいものを作る知恵を体現しているのです。この料理は時間と手間がかかりますが、それが家族の愛を印であったりもしります。
パティモンゴの特別さ
パティモンゴは、島の料理アイデンティティの基盤を形成するドミニカ共和国の家庭料理「コシーナクリオージャ」の代表的な一皿です。この料理の誕生は、家族が食費を抑えながらも栄養満点で満足感のあるものを作る必要があった貧しい時代が背景にあります
美味しいパティモンゴを作る魔法、それは「時間」です。固い部位の肉が、時間をかけて煮込まれることによって口の中でとろけるほど柔らかくなります。またハチノス、豚足、豚耳に含まれるゼラチンがスープに溶け出すことで、そのほかの具材を豊かな風味でコーティングし、濃厚な一品に仕上がります。
このシチューはドミニカンコミュニティで深い文化的意義を持っています。パティモンゴの準備は週末の儀式となり、大家族が台所に集まって下ごしらえをすることがあります。長い行程を一緒に過ごすことで、会話を生み、つながりを感じさせ、料理を通した栄養補給と同じくらい心も満たしてくれるのです。
本格的なドミニカンパティモンゴの食材
主要な肉類
- 牛モツ 900g(きれいに洗い、5cm角に切る)
- 豚足 900g(きれいに洗い、縦半分に切る)
- 豚耳 450g(きれいに洗い、塊に切る)
- 牛肩肉またはショートリブ 450g、角切り(コクを加えるオプション)
ソフリートベース
- 大きな玉ねぎ 1個、みじん切り
- 緑ピーマン 1個、みじん切り
- ニンニク 6片、みじん切り
- 新鮮なコリアンダー 1/4カップ、刻む
- アドボシーズニング 大さじ2
野菜
- 玉ねぎ、4等分に切る
- にんにく
- 新鮮なコリアンダー(飾り用)
- かぼちゃ
調味料と液体
- 乾燥オレガノ 小さじ2
- クミン粉 大さじ1
- 甘いパプリカ 小さじ1
- トマトペースト 大さじ2
- 塩こしょう 適量
- オリーブオイル 大さじ3
- 水 2.5〜3リットル
- 白酢 大さじ2(肉を洗う用)
- ライム 1〜2個(肉を洗う用と仕上げ用)

日本での買い物メモ: モツや豚足はハナマサやその他の卸売肉市場で見つけてください。レストラン業界向けの専門カットをよく扱っています。豚耳は新大久保などのエリアの韓国系または中国系マーケットで入手可能な場合があります。アドボシーズニングは輸入店で見つけるか、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オレガノ、塩、クミンを混ぜて作ることができます。
ドミニカパティモンゴの詳細レシピ
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肉を洗う(30分): ハチノスを粗塩とライム汁でよくこすり洗いします。豚足と豚耳を冷たい流水でよく洗い、毛があればピンセットで取り除きます。この工程により最終的な料理に雑味のない味わいに仕上がります。
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香味野菜での肉を煮る(1時間): きれいにした肉をすべて大きな鍋に入れ、ニンニクの塊、4等分した玉ねぎ、新鮮なコリアンダーと一緒に入れます。冷水で覆い、沸騰させます。肉が柔らかくなり始めるまで1時間煮込みます。肉のアク抜きが目的です。
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肉を水切りしカットする(15分): 肉をゆで汁から取り出し、水と香味野菜を捨てます。肉を少し冷ましてから、小さく一口サイズに切ります。
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ソフリートベースを作る(8分): 大きな厚底鍋で中火でオリーブオイルを熱し、刻んだ玉ねぎとピーマンを加えます。野菜が柔らかくなるまで調理します。みじん切りニンニクを加え、香りが立つまでさらに1分調理します。
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ソフリートに調味料を加える(3分): トマトペースト、アドボシーズニング、オレガノ、クミン、パプリカを加えます。ペーストの色が少し濃くなりスパイスが香り立つまで調理します。これがシチューの濃厚な香りのベースとなります。
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肉に焼き目をつける(10分): カットした肉を5のソフリートミックスに加えます。火を中強火に上げ、ソフリートの味をよくまとわせるために、よく混ぜながら焼き目をつけていきます。
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煮込み(1時間から1時間半): 肉をひたひた覆うぐらいの水を投入。沸騰させてから弱火に下げ、1時間から1時間半、時々かき混ぜながら静かに煮込みます。
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味付けと仕上げ(10分): 必要に応じて塩、コショウ、その他の調味料を味見して調整します。ライムジュースを絞って、調理の最後の数分でコリアンダーを加えます。ライムの酸味が全体の味をしめてくれるので、味がぼやけてる場合はライムを多めに絞ってみてください。
ドミニカパティモンゴの食べ方
パティモンゴは家族が揃う食卓に並べるのが定番、伝統的なドミニカの付け合わせと一緒に深いボウルに盛り付けます。最もクラシックなペアリングはふわふわの白いご飯。スープの濃厚な味を吸ってくれて、ご飯がとっても美味しくなるんです。
パティモンゴをマングー(愛されるマッシュプランテーン料理)と一緒に食べるのも人気です。濃厚なスープに、クリーミーでほんのり甘いマンぐーが口の中で混ざるともう絶品。スライスアボカドを添えればお口直し的な存在に。栄養バランスも整いますよ。
また各々が自分の好みに合わせて酸味を加えられるように、ライムのくし切りを用意するのも欠かせません。ホットソースやピケ(ドミニカのホットペッパーソース)をかけて食べる家もあります。スープを最後の一滴まで食べられるようにパンを用意しておくなんてこともよくあります。
日本でパティモンゴを作る:作り方コツと代替品
購入先: 肉のハナマサや近くのお肉屋さんにいってみることをお勧めします。業務用のお店だと取り扱っている可能性が高いです。また韓国系や中国系マーケットで豚足や豚耳を扱っていることもよくあります。事前に電話で確認するのが安心ですね。
ハチノスの代替品: ハチノスが見つからない場合は、追加の牛の肩肉や牛すねでも代用ができます。ハチノスから出るコクを再現するために、1時間の煮込みの際ににゼラチン1袋を加えると、パティモンゴらしさが出ます。
アドボの代替品: ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オレガノ、塩、クミンを組み合わせてアドボシーズニングを作れますよ。
素材の味の違い: 日本の野菜はしばしばカリブ海の品種よりも優しい味わいのことが多いです。本場のようなパンチのある味わいを出すのであれば、レシピに記載の量より多めにタマネギとニンニクを使用するのもOKです
よくある質問
モツが柔らかくなったかどうかはどう分かりますか?
柔らかくなったモツには、フォークが簡単に刺さります!本当に柔らかい物を求めるなら2.5〜3時間ほど煮込むのがお勧めです。モツがなかなか柔らかくならない場合は、30分ごとに柔らかさチェックをしてみてください。
作りおきをしても大丈夫ですか?
はい、パティモンゴは一晩寝かせるとさらに美味しくなるんです!翌日食べると、さらに濃厚な味になるはず。もし濃厚すぎる場合は、少量の水またはスープを加えて、弱火で加熱してください。
豚足が入手できない場合は何で代用できますか? 豚足を牛のショートリブまたはオックステールに置き換えてください。両方とも豚足と同様にコラーゲンが豊富なのでスープに独特のとろみをつけるのに一役買います。場合によっては柔らかくなりにくい時もあるので、その時は30分長く煮込んでみてください。
余ったパティモンゴを冷凍できますか?
パティモンゴは小分け容器で最大3ヶ月間冷凍できます。解凍時に食感が少し変わり、なめらかさが減る場合がありますが、風味は美味しいままです。冷蔵庫で一晩解凍し、時々かき混ぜながら加熱してください。
レシピに従っているのに味がしっくりこない。
大量の煮込みを作ると味がしまらない、ということはよくあります。最後の煮込みの行程で味見しながら、塩、コショウ、スパイスを加えて調整してみてくださいね。ドミニカ共和国の料理は味が濃いのも特徴のうち。調味料はたっぷり使うのがお勧めです。また、ソフリートベースがの調理段階で、味が決まっているかをチェックするのも大切です。
パティモンゴの意義
パティモンゴは、辛抱、技、愛を通じて質素な食材を特別なものに変えるというドミニカ共和国料理哲学の心を表しています。貧しい時代を生き抜いた祖先から現代のドミニカ家族をつないでいる料理です。
「時短」という言葉が踊る現代社会では、パティモンゴのような手間のかかる料理の価値は、味わいだけではなく、日常から離れゆっくりと時間をかけて家族みんなで作ることそのもにもあるかもしれません。煮込みながら、混ぜて、味見をして、味を調整して、、家族だけでなく文化とつながる瞬間にもなります。
また海外に住むドミニカ共和国の家族にとって、パティモンゴづくりは後世への文化継承にもなります。若い世代に料理のルーツについて教えることで、新しい環境で伝統が根を生やすきっかけにもなりますね。
パティモンゴレシピカード
難易度レベル: 中級(時間と忍耐が必要)
合計時間: 3時間15分
アクティブ調理時間: 45分
人数: 6〜8人分
材料:
肉類:
- 牛モツ 900g(きれいに洗い、5cm角に切る)
- 豚足 900g(きれいに洗い、縦半分に切る)
- 豚耳 450g(きれいに洗い、塊に切る)
- 牛チャックまたはショートリブ 450g(オプション)
ソフリートベース:
- 大きな玉ねぎ 1個、細かく刻む
- 緑ピーマン 1個、刻む
- ニンニク 6片、みじん切り
- 新鮮なコリアンダー 1/4カップ、刻む
- アドボシーズニング 大さじ2
- かぼちゃ1個
調味料:
- 乾燥オレガノ 小さじ2
- クミン粉 大さじ1
- 甘いパプリカ 小さじ1
- トマトペースト 大さじ2
- 塩、黒コショウ 適量
- オリーブオイル 大さじ3
- 水 2.5〜3リットル
- ライム 1〜2個(洗浄用と仕上げ用)
作り方:
- 肉を塩とライムできれいに洗う(30分)
- 肉をニンニク、玉ねぎ、コリアンダーと一緒に茹でる(1時間)
- 水切りし、液体を捨て、肉を一口サイズに切る(15分)
- 油で玉ねぎ、ピーマン、ニンニクを炒めソフリートを作る(8分)
- トマトペースト、アドボ、オレガノ、クミン、パプリカを加える(3分)
- カットした肉をソフリートミックスで焼き目をつける(10分)
- 水を加え、柔らかくなるまで1〜1.5時間煮込む
- ライムジュースと新鮮なコリアンダーで仕上げ(10分)
必要な器具: 大きな厚底鍋またはダッチオーブン
作り置き: 食べる1日前に作ると味に深みが出ます
栄養成分(1人前あたり):
- カロリー:380
- タンパク質:28g
- 脂質:18g
- 炭水化物:22g
- 食物繊維:4g
保存方法:
- 冷蔵:密閉容器で最大4日間
- 冷凍:小分け容器で最大3ヶ月
- 再加熱:必要に応じて水を追加し、やさしく煮込みます
完璧なペアリング: 白いご飯、マングー、スライスアボカド、ライムのくし切り、パン
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