調理時間: 下ごしらえ 30分 | 調理 45分 | 合計 1時間15分 | 8人分
オーブンでパステロンが焼き上がる瞬間、ドミニカ共和国の人々がこの料理を祝いの席の料理として大切にしてきた所以がわかると思います。甘く熟したプランタノがキャラメリゼされ、その自然な甘みが香ばしい牛ひき肉を包み込みます。ドミニカ共和国に行ったことがなくても食べた瞬間に「家庭の味」を感じられるはずです。
なかなか味のイメージが湧かないかもしれませんが、ラザニアのカリブ版だと思ってください。パスタの代わりに熟したプラタノをマッシュして重ねます。甘さと塩気の絶妙なバランスこそがドミニカ料理の真骨頂で、パステロンはその代表格です。
パステロンが特別な理由
パステロンはシンプルな食材を特別なごちそうへと変える料理です。スペイン料理にルーツを持ちながらも、ソフリート、サソン、オリーブ、パクチーを加えることでドミニカ流に進化しました。
誕生日や祝日、家族の集まりなど、大切な場面で必ず登場する料理。名前はスペイン語の「パステル(パイやケーキ)」に「ón(大きい、立派な)」がついたもの。その名の通り、大きくて堂々とした料理です。
材料
プラタノの層
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よく熟したプラタノ 6本(皮が黄色から黒で、柔らかくなったもの)
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バター(マッシュ用)
ピカディージョ(牛肉の具)
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牛ひき肉 680g
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玉ねぎ 大1個(みじん切り)
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ピーマン(緑・黄) 各1個(みじん切り)
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にんにく 4片(みじん切り)
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トマトペースト 120ml(約1/2カップ)
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乾燥オレガノ 小さじ1(※ドミニカ産は日本で入手困難、一般的なオレガノで代用可)
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クミンパウダー 小さじ1/2
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コンソメキューブ 1個(または顆粒)
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酢 お好み
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サソン(着色用にアナトーやパプリカで代用可)
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パクチー(仕上げ用)
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塩・黒こしょう 適量
仕上げ
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モッツァレラチーズ 200g(またはケソ・デ・フレイル)
ピカディージョの作り方
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フライパンに油大さじ2を熱し、中火で玉ねぎとピーマンを炒めて柔らかくする。
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牛ひき肉を加え、ほぐしながらしっかりと焼き色をつける。
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にんにく、トマトペースト、オレガノ、クミン、コンソメ、サソン、酢、塩・こしょうを加える。
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約10分煮込み、水分を飛ばして香りを立たせる。
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最後にパクチーを加えて仕上げる。
パステロンの作り方
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プラタノを柔らかくなるまでゆで、バターを加えてなめらかにマッシュする。
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ピカディージョを用意する。
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オーブンを180℃に予熱。耐熱皿(23×33cm)にバターを塗る。マッシュしたプラタノ、ピカディージョ、チーズの順に重ねる。これを3回繰り返し、最後はチーズで仕上げる。
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180℃で40〜45分、表面がこんがりしてチーズが泡立つまで焼く。10分休ませてから切り分ける。
食べ方
四角く切り分けて、サラダ、ごはん、豆料理、アボカドスライスと一緒にどうぞ。ボリュームがあり、翌日食べてもさらにおいしいです。
日本での材料探し
一番の難関は熟したプラタノの入手です。日本では以下がおすすめです。
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Plátanos Japón(通販)
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日進ワールドデリカテッセン(麻布十番)
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東京・横浜のフィリピンやラテン系マーケット
プラタノは青い状態で買い、室温で7〜10日置きます。皮が黄色から黒に変わり、果肉が柔らかくなったら食べごろ。冷蔵庫に入れると追熟しないので注意してください。
見つからない場合は、さつまいもで代用可能です。プラタノの特有の酸味はなくなりますが、甘じょっぱいバランスはしっかり楽しめます。
FAQ
作り置きできますか?
はい。前日に組み立てて冷蔵保存し、翌日に焼くだけでも大丈夫です。焼いてから冷蔵保存し、温め直してもおいしく食べられます。
プラタノが熟していない場合は?
皮が黄色と黒で柔らかくなるまで待ちましょう。バナナやりんごと一緒に紙袋に入れると追熟が早まります。
牛肉以外でも作れますか?
はい。豚肉、鶏肉でも作れます。ベジタリアンなら豆やきのこにスパイスを効かせて作るのがおすすめです。
結び
パステロンはただの料理ではなく、ドミニカの人々にとって家族や仲間をつなぐ味です。日本でプラタノを探して作っても、さつまいもで代用しても、甘さと旨みのハーモニーは変わりません。どこにいても、家族や友人と分け合いたい一皿です。